近年、空き家問題の深刻化により「実家じまい」を検討する人が増えています。実家じまいとは、両親が住まなくなった実家を売却・処分することを指し、空家を放置することによるリスクを避けるための重要な終活の一環です。
本記事では、実家じまいを始める適切なタイミング、必要な手順、発生する費用、空き家に関わる問題点や解体の可否などについて詳しく解説します。
実家じまいとは何か?空家対策としての重要性
実家じまいとは、親が住まなくなった家を売却・処分して管理の負担をなくす行為を指します。核家族化や高齢化の影響で、親と同居せず別に暮らす家庭が増えた結果、実家が空き家になるケースが増加しています。空き家は老朽化や治安悪化の原因となるだけでなく、固定資産税や維持管理の負担を子世代に与えます。
空き家を放置すると近隣トラブルや倒壊リスクが高まるため、早期に実家じまいを検討することが望ましいといえます。
実家じまいを検討すべき3つのタイミング
相続が発生したとき
相続により実家が空き家になった場合、売却して現金化し、相続人で分割する「換価分割」が一般的な方法です。相続税や譲渡所得税の問題が発生するため、専門家に相談するのが得策です。
親が施設へ入所したとき
施設の費用捻出のため、空き家となった実家を売却するケースが増えています。ただし、親の感情的な抵抗もあるため、理解を得ながら進める必要があります。
空き家の管理が負担になったとき
空き家の維持管理に時間的・経済的負担を感じる場合も、実家じまいを検討すべきタイミングです。立地によっては売却だけでなく、賃貸や空き家バンクの活用も選択肢になります。
実家じまいで起こりやすい3つの問題点
所有者である親が売却に同意しない
不動産の売却は所有者の意思が必要です。親が思い出に対する愛着などから売却に同意しないケースは多く、丁寧な説明と合意形成が不可欠です。
親が認知症になってしまった
認知症により意思能力を喪失すると、売却は不可能となります。この場合、成年後見制度の利用が必要ですが、手続きが煩雑で時間もかかります。
地方や田舎の物件が売れない
人口減少が進む地域では、不動産の需要が少なく売却が難航することがあります。空き家バンクの活用や賃貸化など、柔軟な対応が求められます。
実家じまいと建物解体の判断基準
解体による税金負担の増加に注意
空き家を解体すると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税負担が大幅に増加する恐れがあります。解体前に税制の確認が必要です。
売却時の特例が使えなくなる可能性
「マイホームの3000万円控除」や「空き家の特例」など、売却時の税制優遇は建物が残っていることが前提です。先に解体してしまうと、これらの特例が使えないため注意が必要です。
地方では建物付きの方が売れやすい
都市部では更地の方が価値が出る傾向がありますが、地方では築年数が経過した建物でも「住める家」であることが評価され、売却につながることがあります。解体の判断は、立地や市場を踏まえて行うべきです。
実家じまいにかかる主な費用と税金
実家じまいにはさまざまな費用が発生します。以下は主な項目です。
経費
- 不動産会社への仲介手数料
- 測量・境界確定費用
- 残置物の撤去費用
- 建物解体費用
- 建物滅失登記、土地家屋調査士報酬
- 相続登記に関する司法書士報酬
- その他交通費や実費
税金
- 譲渡所得税
- 登録免許税(相続登記)
- 収入印紙代(売買契約書)
これらは数十万円〜数百万円に及ぶこともあり、事前に見積もりを取り、予算を把握することが大切です。
親が生前と死後、どちらに実家じまいすべきか?
生前に実家じまいを行う場合
メリット
- 老後資金や施設費用に充てやすい
- 不動産を現金化することで相続時のトラブルを予防できる
デメリット
- 資産の評価額が上がり、相続税が高くなる可能性
- 親が家に戻りたくなったとき対応できない
死後に実家じまいを行う場合
メリット
- 空き家の特例など、税制上のメリットが活用できる
- 相続人全員で売却・換価分割が可能
デメリット
- 遺産分割と同時進行となるため手続きが煩雑になる
- 相続人間で意見が割れる可能性
状況に応じた判断が求められます。法務・税務の観点から専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
実家じまいは終活の一環として計画的に
実家じまいは、単なる空き家処分にとどまらず、家族全体の将来設計や相続トラブルの回避にもつながる重要な終活の取り組みです。費用や税金、法律上の制約も多くありますが、正しい知識と計画的な行動によって、より円滑に進めることができます。
空家の放置リスクを避け、次世代への負担を軽減するためにも、早めに準備を始めることが肝心です。


