空家を相続した際のリスクと適切な対処法を解説

空家を相続すると、維持費や固定資産税、老朽化による資産価値の低下など、さまざまなデメリットが生じます。放置すれば「特定空家」に指定される可能性もあり、税負担の増加や近隣トラブルの原因になることもあります。

本記事では、空家相続の主なリスクとその対処法、売却時に活用できる税制上の特例、相続登記の義務化について詳しく解説します。

空家を相続するリスクとその影響

管理や維持に手間と費用がかかる

空家は所有者が適切に管理する必要があります。清掃や草木の手入れを怠ると、周囲に迷惑をかけたり、損害賠償のリスクが発生することもあります。遠方に住んでいる場合や多忙な生活を送っている場合、外部業者に管理を委託することもできますが、その分費用がかかります。

固定資産税などの税負担が続く

空き家を所有している限り、固定資産税や都市計画税が毎年発生します。建物が残っていれば税の軽減措置が適用されることもありますが、老朽化して倒壊の危険があるなどの場合、特定空き家に指定されると軽減措置が打ち切られ、税額が増えることになります。

特定空き家に指定されるリスク

管理不全の空き家は「特定空き家」として行政から認定されることがあります。倒壊や衛生問題、景観の悪化などが基準になります。指定されると、税金の軽減がなくなり、行政から改善命令や行政代執行が行われる可能性もあります。

近隣とのトラブル発生の可能性

劣化した空家が原因で、火災、害虫発生、雑草の繁茂などが起こると、近隣住民とのトラブルに発展することもあります。また、空き家が倒壊して通行人に被害を与えると、相続人が賠償責任を問われることもあります。

資産価値の低下

空き家は使用されないことで急速に劣化し、資産価値が著しく下がります。築年数が経過するだけでなく、管理がされていないことが価値の減少を加速させます。売却や賃貸の予定がある場合でも、長期放置は大きな損失につながる可能性があります。

空家の相続時に考えるべき6つの対処法

売却を検討する(相続後3年以内)

空き家に居住や活用の予定がなければ、相続から3年以内に売却することで「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」が適用される可能性があります。これにより、譲渡所得税の負担が大幅に軽減されることがあります。適用には建物の築年数や被相続人の居住状況などの条件を満たす必要があります。

賃貸として運用する

空き家がまだ使用可能な状態であれば、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を得ることが可能です。ただし、リフォームや修繕の初期投資が必要な場合もあり、空室リスクやトラブル対応などの責任も伴います。また、賃貸にすると一部の税制優遇が受けられなくなる点にも注意が必要です。

自ら居住する

相続した空家に自ら住むことで、維持管理の問題や特定空き家指定を回避できます。実家の継承として家族の思い出を残すことができる点も大きなメリットです。ライフスタイルの変化に応じて居住の選択肢も検討してみる価値があります。

建物を解体し、土地を活用

建物の使用予定がない場合は、解体して更地にすることで土地を駐車場などに活用できます。ただし、更地にすると固定資産税の軽減措置がなくなり、税負担が増す点や、解体費用(木造住宅で100万円以上が相場)がかかる点には注意が必要です。

寄付を検討する

空家は条件が合えば、個人・法人・自治体などに寄付することも可能です。特に公益法人や自治体への寄付は税制面での優遇措置がある場合もあります。2023年からは「相続土地国庫帰属制度」により、要件を満たした土地であれば国に引き取ってもらうことも可能になっています。ただし、建物のある土地や特殊な地形の土地は対象外になることが多く、手数料や負担金も発生します。

相続放棄を選ぶ

空き家のみが相続財産で、その他に価値のある資産がない場合や、空き家にかかる負担を回避したい場合には、相続放棄も選択肢となります。ただし、空き家だけを放棄することはできず、すべての相続財産を放棄する必要があるため、慎重に判断する必要があります。

空家を相続したら登記手続きが必要

2024年4月から、相続登記が義務化されました。空き家を相続した場合でも、名義変更をしないままでいると、3年以内に手続きを行わなかった場合に最大10万円以下の過料が科される可能性があります。相続登記をしないと不動産の売却や解体もできないため、早めの対応が重要です。

また、登記を放置すると次の相続が発生した際に権利関係が複雑化し、手続きが煩雑になります。将来的なトラブルを防ぐためにも、相続発生後はできるだけ速やかに登記手続きを行いましょう。

空家の相続は早めの対策がカギ

空家の相続は、思わぬ負担やリスクを伴う可能性があります。相続した不動産の現状や将来の利用計画をよく検討したうえで、売却、活用、放棄などの選択肢を検討しましょう。

相続登記の義務化により、空き家も含めた不動産の名義管理がより重要になっています。適切な情報をもとに、早めの判断と行動を心がけることが重要です。