空家を相続したときのクレーム対処法と売却のすすめ

空家を相続した際、近隣住民からクレームを受けるケースが少なくありません。放置された空家は景観や安全、衛生に悪影響を与えることがあり、相続人が責任を問われることになります。

本記事では、空家に関するクレームの原因とその対処法、そして相続した空家の効果的な処分方法としての「換価分割」について詳しく解説します。早期対応がトラブル防止と資産の有効活用に繋がります。

ご近所からクレームが来る空家の主な特徴

管理不全による外観・衛生面の悪化

相続後に空家となった建物がクレームの対象になるのは、外観や衛生面の問題が多くを占めています。代表的な例は以下のとおりです。

  • 草木が伸び放題で、隣地や道路に越境している
  • 建物や塀が老朽化し、崩壊の危険がある
  • 室内や敷地から異臭が漂っている
  • ゴミが放置され、害虫・害獣が発生している
  • 無人状態が続き、空家自体が防犯上の懸念になっている

このような空家は、周囲の生活環境に悪影響を及ぼすだけでなく、地域全体の不動産価値を下げる要因にもなります。

空家に関するクレームが発生するきっかけ

相続した空家がトラブルの火種になるのは、以下のような場面がきっかけです。

  • 空家の手入れに訪れた際、近隣から直接苦情を受ける
  • 相続人と近所の住民が旧知の仲で、電話やSNSで連絡が来る
  • 住民が市区町村の空家対策部署に相談し、行政から指導が入る

クレームは突然起こるのではなく、空家が一定期間放置されることで顕在化します。したがって、相続が発生したらすぐに状況を確認し、管理や処分の方針を立てることが重要です。

空家相続後のクレーム対応方法

草木の繁茂への対応

最も多いのが、庭や敷地の草木に関するクレームです。自分で草刈りを行うことも可能ですが、高温期は熱中症のリスクがあるため、造園業者など専門業者への依頼が安全で確実です。管理にかかった費用は、相続財産から経費として清算できることもあります。

異臭の除去

ゴミの放置や動物の死骸などによる異臭は、近隣住民に強いストレスを与えるため、迅速な対応が必要です。特殊清掃業者による除去作業やオゾン消臭といった専門的な措置が求められるケースもあります。

ただし、相続放棄の検討中や相続財産の調査が完了していない場合、勝手に手を加えることが難しい場合もあるため、慎重に対応を進める必要があります。

建物の老朽化に伴う危険の対処

外壁や屋根の劣化、塀の倒壊などが懸念される空家は、早急な修繕か解体が必要です。老朽化した建物が原因で事故が起これば、相続人に損害賠償責任が発生する可能性もあります。リスク回避のためには、専門業者に現地調査を依頼し、対応方針を決定しましょう。

空家自体に対する嫌悪感

現代では、空家という存在そのものが地域住民の不安要因となっています。「誰も住んでいない」「管理されていない」という印象が、防犯面や景観に対するマイナスイメージを助長します。建物の利用予定がないのであれば、売却や解体を含めた処分を早期に検討することが望まれます。

空家に関するクレームを放置するリスク

相続人の中には「無視すればよい」と考える人もいますが、放置することで深刻な問題に発展することがあります。

隣地との測量・境界確定が困難になる

不動産を売却する際には、隣接地との境界確定が必要です。空家を長期間放置したことで近隣と関係が悪化していると、署名や協力が得られず、測量や登記が進まないことがあります。これにより、売却価格が下がる、あるいは売却自体が困難になる可能性もあります。

私道通行や掘削工事の承諾が得られない

敷地が公道に接していない場合は、私道の所有者から通行や掘削の許可を得る必要があります。これも近隣との関係性が悪いと協力が得られず、売却に支障をきたします。

解体工事への二次クレーム

空家を解体する際の騒音や振動が原因で、追加のクレームを受けることもあります。場合によっては、過剰な損害賠償の要求をされることもあり、関係悪化が大きなリスクになります。

空家は換価分割で処分するのが合理的

換価分割の概要と利点

換価分割とは、相続した空家を売却し、その売却代金を相続人で分配する方法です。以下の理由から、多くのケースで換価分割が推奨されています。

1. 公平な分配が可能

不動産の評価は相場変動や立地によって大きく異なるため、評価額で分けると不公平になることがあります。売却後の実際の金額を分配する換価分割であれば、相続人全員にとって納得のいく分配が可能です。

2. 賃貸よりも管理が簡単

空家を賃貸に出すには、リフォームや入居者対応、管理業務など多くの負担が発生します。経験のない相続人が賃貸経営を始めるのは現実的ではなく、売却によって現金化する方がシンプルかつ安全です。

3. 税制優遇が受けられる

「被相続人の居住用財産を売却したときの3,000万円控除」の特例を活用すれば、譲渡所得から最大3,000万円が控除され、税金を大幅に軽減できます。要件としては、相続後に空家が第三者に貸し出されていないこと、相続開始から3年以内に売却することなどがあります。

空家は相続後すぐに対策を講じるべき

空家の相続は、多くの人が直面する可能性がある現代的な問題です。空家を放置すると、近隣との関係悪化や売却困難といった様々なトラブルに発展します。

したがって、相続後は空家の現状を把握し、可能であれば早期に処分や管理の方針を決定することが非常に重要です。クレームを受けてから対応するのではなく、クレームを受ける前に予防的な措置を取ることで、精神的・経済的な負担を大きく軽減できます。

まとめ

空家の相続は、単なる不動産の承継にとどまらず、近隣との関係、税務、法的な責任まで含めた幅広い課題を伴います。トラブルを未然に防ぐためには、放置せずに積極的に対応を進めることが肝心です。

相続した空家は、換価分割による売却を前提に、早期の管理・処分を検討しましょう。