空家相続で特に厄介な不動産とは?一軒家以外のリスクに注意

相続によって空家を引き継ぐケースは年々増加していますが、実際に大きな問題を抱えやすいのは、一軒家よりも特殊なタイプの空家です。特に、シニア向けマンションや別荘用物件などは、売却が困難で維持費も高額になりがちです。

本記事では、相続で発生する空家の中でも特に注意が必要な不動産について、種類別にリスクを整理しながら解説します。相続時の判断を誤ると、長期間にわたって大きな経済的・精神的負担を背負う可能性があります。

相続によって発生する空家は多様化している

空家といえば一軒家を思い浮かべがちですが、相続によって引き継がれる空家には多様な種類があります。住居として使用されていた物件だけでなく、賃貸用、別荘用、介護付きの物件なども対象になります。

主な相続空家の種類

  • 一軒家(戸建住宅)
  • 区分建物(分譲マンション)
  • 木造アパート一棟
  • 鉄筋コンクリート造マンション一棟
  • 借地権付き建物(定期借地権含む)
  • シニア向け介護付き区分マンション(所有権型)
  • 別荘管理地内の建物
  • 別荘向けマンション(温泉付き等)

特に問題となるのは、一軒家や分譲マンション以外の「収益目的」や「別荘用」に建てられた物件です。これらは維持費や管理費が高額であり、売却も困難なケースが多く、空家として長期間残されるリスクがあります。

一軒家以外の相続空家で問題が生じやすいケース

木造アパート一棟の相続リスク

築古の木造アパートは、入居者がいないまま相続されると、賃貸収入も得られず、解体費用も負担しなければなりません。構造が比較的小規模なため一棟マンションほどのリスクはないものの、収益性がない状態では維持する意味が薄れ、空家問題に直結します。

鉄筋コンクリート造マンション一棟の負担

一棟マンションを相続すると、空室が多ければ運用は難しくなります。特に地方や駅から遠い立地では、土地としての売却価値も低くなり、最終的には数千万円単位の解体費用が相続人の負担になる可能性もあります。

借地権付き建物の取り扱いの難しさ

借地権付き建物は、土地の所有者との交渉が不可欠です。建替えや売却の際に地主の承諾が必要であるため、自由な処分ができず、空家としてのリスクが高まります。さらに、定期借地権の場合は、契約上の制限が多く、専門的な知識や対応が求められます。

特に厄介な相続空家のタイプ

シニア向け介護付き区分マンション(所有権型)

このタイプは、月額10万円以上の高額な管理費がかかるケースが一般的です。しかも、購入希望者には年齢や健康状態などの条件が課されており、売却が極めて困難になります。所有している限り費用が発生し続けるため、資産というより「負動産」と化すこともあります。

別荘管理地内の建物

管理が徹底された別荘地でも、空家になると年間数万円の管理費が発生します。特に需要の低い地域では買い手がつかず、持ち続けることが経済的な負担となります。相続したものの活用の予定がなければ、早期に処分方法を検討すべき不動産です。

温泉付きなどの別荘向けマンション

温泉やリゾート施設が付帯しているマンションは、一見魅力的ですが、管理費・修繕積立金が高額な上に、購入層が限られているため売却に苦労します。空家として長期保有することになれば、毎月の固定費で経済的に圧迫されることになります。

空家問題の共通点と将来的なリスク

特に厄介な空家に共通する特徴は以下の通りです。

  • 高額な維持管理費が毎月発生
  • 買い手が見つかりにくい流通性の低さ
  • 土地や建物の資産価値が低下している

これらの空家を相続してしまうと、相続人は維持費を払い続けるだけで何のメリットも得られない状況に陥る可能性があります。こうした物件は、過去に流行した投資用・別荘用不動産に多く見られ、今では需要の低下とともに大きな負担へと変化しています。

空家が売却できないとどうなるか?

相続後、空家の売却ができなければ、長期間にわたって負担が積み重なります。

たとえば、管理費だけで月8万円かかる場合、年間で96万円、10年間で約1,000万円の支出となります。これに加えて固定資産税や修繕費なども発生するため、経済的損失は非常に大きくなります。

しかも、こうした物件は売却先を見つけるのが困難なため、資産価値が年々下落していくことも少なくありません。まさに「負の遺産」となり、相続人の生活に影を落とす存在になってしまうのです。

相続放棄という選択肢も視野に

問題のある空家を相続してしまった場合、相続放棄を検討するのも一つの選択肢です。相続放棄をすれば、不動産だけでなく他の遺産も受け取れなくなりますが、結果的に大きな損失を防げる可能性があります。

特に、相続財産の中に現金や預貯金が少なく、空家の維持費が長期的に負担になりそうな場合は、専門家に相談のうえ慎重に判断することが重要です。

まとめ:空家相続の落とし穴を避けるために

一軒家以外の相続空家には、見た目では判断できない深刻なリスクが隠されています。相続が発生した際には、物件の種類・立地・管理費などを総合的に確認し、 「本当に相続すべきか」 を考える必要があります。

相続によって経済的・精神的な負担を抱えることがないよう、事前に家族や専門家と十分な話し合いを行い、最善の対策を講じることが大切です。特に処分が難しい空家を引き継ぐ可能性がある場合は、相続開始前からの準備が将来の負担を大きく軽減します。