高齢化と人口減少の進行により、空地の相続が社会問題となっています。建物が存在しない土地を相続した場合、一見すると管理は容易に見えますが、固定資産税や活用手段の有無など、多くの課題が潜んでいます。
本記事では、空地を相続した際に直面する問題や制度、具体的な対処方法を解説し、相続後の有効な対応策を紹介します。
空地を相続する件数が増加中
利用されないまま放置される空地
近年、親族の死亡に伴って空地を相続する人が増えています。住宅が取り壊された後の土地や、もともと更地だった土地など、使い道が見つからずにそのまま放置されるケースが多発しています。特に地方や過疎地域では、活用の見込みがないまま空地を持ち続ける相続人が増えているのが現状です。
空地放置のリスク
空地を放置しておくと、以下のような問題が発生します。
- 雑草やごみの放置による景観・衛生悪化
- 不法投棄や不審火のリスク増大
- 近隣住民とのトラブル
- 行政からの指導や命令の対象となる可能性
- 固定資産税などの維持費用の負担
空地は一見管理が不要のように見えても、放置することで管理責任や経済的負担が相続人にのしかかってくるため、早期の対処が必要です。
空地にかかる固定資産税のしくみと注意点
更地は住宅用地の特例対象外
空地を相続した際に注意したいのが、固定資産税の負担です。建物がある住宅用地には、最大6分の1まで固定資産税が軽減される制度(住宅用地の特例)がありますが、建物のない空地にはこの軽減措置は適用されません。
つまり、同じ広さの土地でも、建物の有無によって税額が大きく変わるため、建物を取り壊して空地にした場合、税負担が増えることになります。
「特定空家」制度との関連性
空き家を解体して空地にした結果、固定資産税の軽減措置が解除され、税負担が増加することがあります。2015年に施行された空家等対策特別措置法では、倒壊や衛生上問題がある建物を「特定空家」と指定し、行政が解体を命じるケースもありますが、その後に残るのは「税負担の重い空地」です。
空地として残った土地に活用の見込みがなければ、相続人の経済的負担はさらに重くなるのが現実です。
空地を相続した後の選択肢
土地の価値を見極めることが重要
空地を相続した際は、まずその土地にどれだけの資産価値があるかを調査する必要があります。立地条件によっては、以下のような活用方法が考えられます。
- 住宅やアパートなどの建築用地として売却
- 駐車場や貸地としての賃貸活用
- 太陽光発電施設の設置(条件により)
- 自宅用・二次的な使用(菜園など)として利用
都市部や郊外でも駅に近い空地であれば、比較的高い価格で売却できる可能性があります。ただし、形状や道路への接道状況などにより、再建築不可や利用制限がある土地もあるため、専門家の評価を受けることが重要です。
売却できない空地の対応策
相続した空地に需要がない場合や、固定資産税ばかりがかかる場合は、以下のような処分方法を検討しましょう。
- 不動産買取業者に相談して低額でも売却
- 不動産寄付や無償譲渡(NPO・自治体などへの働きかけ)
- 他の相続人との共有名義を整理して単独で処分しやすくする
- 市区町村が実施する空地バンクへの登録
売却金額が小額でも、長期的な税負担や維持管理の手間から解放されるメリットがあります。特に、固定資産税が毎年かかることを考慮すれば、早期に処分する方が得策になる場合が多いです。
相続登記義務化と空地の名義変更
登記の放置は将来のトラブルを招く
2024年4月より、不動産の相続登記が義務化されました。空地を相続した場合も例外ではなく、相続開始から3年以内に登記を行わなければ、過料(最大10万円)の対象となる可能性があります。
空地は「管理不要」と思われがちですが、名義変更を放置すると以下のようなトラブルが生じます。
- 売却や賃貸ができない
- 共有状態になり処分が難しくなる
- 行政指導や命令が届かない
相続登記は空地であっても必ず行い、名義人を明確にしておくことが法的にも実務的にも不可欠です。
空地の相続における総合的な対応策
空地を相続した際には、以下のようなステップで対処することが推奨されます。
- 登記名義の確認と変更(相続登記)
- 土地の評価(立地、接道、法的制限)
- 活用・売却・賃貸などの方向性の検討
- 維持コスト(税金、管理)の試算
- 専門家(行政書士、土地家屋調査士、不動産業者など)への相談
空地の相続は、「何もない土地」であるがゆえに放置されがちですが、実は維持負担が継続的に発生する点でリスクが高い資産です。早期に状況を整理し、活用または処分の方針を明確にすることが、相続人自身を守る第一歩です。
まとめ
空地を相続した際は、「所有することのデメリット」にも目を向け、感情ではなく合理的な判断で対応することが求められます。適切な対応によって、放置空地がトラブルの火種になることを未然に防ぐことができます。


