空家を相続した場合、相続税だけでなく住民税や所得税が課税される可能性があります。通常の相続では住民税はかかりませんが、不動産から収益が発生したり、故人に未納の住民税があると、相続人がその負担を引き継ぐことになります。
特に、賃貸用の空家や土地を相続する際には税務リスクを事前に把握し、節税制度の活用が重要です。本記事では、空家を含む相続によって住民税が発生するケースや、その負担を軽減する方法を詳しく解説します。
相続で空家を取得しても原則住民税はかからない
遺産相続は所得に該当しない
空家をはじめとする不動産を相続しても、それ自体には所得税や住民税は課されません。相続で得た財産は、税法上「所得」ではなく「相続財産」として扱われ、課税対象となるのは原則として相続税のみです。
このため、単に空家を引き継いだだけでは住民税の支払い義務は発生しません。ただし、相続後にその空家を賃貸運用したり売却した場合には、新たな所得が発生し、住民税や所得税が課税される可能性があります。
空家の相続で住民税がかかる2つのケース
故人が住民税を滞納していた場合
故人が生前に支払っていなかった住民税は、相続財産の一部として相続人に承継されます。税金の未納分も債務にあたり、相続放棄をしない限り、相続人がその納税義務を引き継ぐことになります。
特に、故人が1月1日時点で住民登録されていた自治体に対する住民税は、その年の途中で亡くなった場合でも課税対象となります。納税通知が届いていなくても、相続人がその未納分を負担する必要があるため注意が必要です。
相続した空家の運用や売却で利益が出た場合
空家を相続後に賃貸経営を始めた場合や、相続後に不動産を売却して利益が出た場合には、不動産所得や譲渡所得が発生し、それに応じた所得税と住民税が課されます。
特に、相続した空家の売却によって得た利益は譲渡所得として計算され、所得額に応じた税率が適用されます。空家を所有するだけでは課税されませんが、活用によって利益が出た段階で税負担が生じます。
相続空家にかかる税金を軽減する方法
不動産売却時の控除・特例を活用
空家の売却によって得られる譲渡所得には、特例や控除を活用することで課税額を抑えることが可能です。代表的な制度は以下の通りです。
取得費加算の特例
相続税の一部を不動産の取得費に加算することで、売却益を圧縮し課税所得を減らすことができます。
相続空家の3,000万円特別控除
一定の条件を満たす空家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。被相続人が住んでいた住宅であること、耐震基準を満たすことなどが要件となります。
これらの特例を活用することで、売却益が課税対象となる範囲を大きく抑えることが可能です。ただし、各制度には細かな適用条件があるため、事前の確認が必要です。
青色申告による節税
相続した空家を賃貸物件として運用する場合は、「青色申告」を行うことで最大65万円の控除が受けられます。これは不動産所得に対して適用され、複式簿記による記帳や確定申告が必要になります。
青色申告の承認を受けるには、相続後に所轄の税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。これは、故人が生前に青色申告をしていた場合でも、新たに相続人が提出しなければ適用されません。
相続登記の義務化とその影響
相続した空家を売却または運用するためには、名義変更の手続きを行う必要があります。2024年4月の法改正により、相続登記は義務化され、以下のような規定が適用されます。
- 登記期限:相続開始から3年以内
- 過料:手続きしない場合、10万円以下の過料の対象に
不動産の名義変更は法務局で行います。登記の手続きは自分で行うことも可能ですが、専門知識が必要なため、司法書士に依頼するケースも一般的です。
空家の売却や活用を考える場合、相続登記を行っていないと手続きが進められません。早めの対応が推奨されます。
まとめ
空家を相続することで直接住民税が発生するわけではありませんが、以下のようなケースでは税負担が増える可能性があります。
- 故人が住民税を滞納していた場合
- 相続した空家を売却・賃貸して利益が出た場合
こうした課税リスクを軽減するためには、控除や特例の制度を正しく理解し、必要な手続きを適切に行うことが大切です。特に「相続空家の3,000万円特別控除」や「青色申告」は効果的な節税手段として活用できます。
また、空家を有効活用するには、名義変更を含む相続登記が必須です。相続後のスムーズな運用・売却のためにも、登記手続きを早めに済ませておきましょう。
税金と手続きの両面から、空家の相続には適切な知識と準備が求められます。


