空家の相続手続きを自分で行うメリットとデメリットとは?費用や必要書類も詳しく解説

不動産の相続により取得した空家の登記手続きを自分で進めることは可能ですが、正確な知識と慎重な対応が求められます。

本記事では、空家となった不動産を相続する際に必要な手続き方法、かかる費用、必要書類、注意点などを詳しく解説します。専門家に依頼せずに手続きを進めたい方に向けた実用的なガイドです。

空家を相続する手続きを自分で行うメリット

専門家に依頼せず費用を抑えられる

空家の相続登記を自分で行うことで、司法書士など専門家への報酬を節約できます。通常、相続登記を依頼すると5万〜15万円程度の費用がかかりますが、自力で行えばこの支出を抑えることができます。

ただし、登録免許税や各種書類の取得費用は必ず発生します。また、すべての手続きを自力で行うのが難しい場合には、一部だけを専門家に依頼することも可能です。

空家の相続登記を自分で行うデメリット

手続きには時間と労力が必要

相続手続きには多くの書類や申請が伴い、平日日中に役所や法務局へ行く必要もあります。申請書の作成も自力で行わなければならず、知識がない場合は精神的負担も大きくなります。

ただし、2024年3月からは全国どこでも戸籍謄本を取得できるようになり、以前より書類収集の手間は減っています。

書類の不備によるミスのリスク

書類に不備があると申請が受理されず、再提出が必要になることもあります。不動産の相続は法的効力を持つ重要な手続きであるため、ミスがあれば権利関係に影響を及ぼす可能性があります。

また、相続登記が義務化されている現在、期限内に手続きしなければ10万円以下の過料が科される場合もあります。

自分で空家の相続手続きを行えるケースとは

次のような条件に当てはまる場合、自力での手続きが現実的

  • 相続人が配偶者と子どものみである
  • 手続きを進める意欲と根気がある
  • 平日の日中に時間が確保できる

家族構成がシンプルで、手続きに必要な時間が取れる人であれば、自分で空家の相続登記を行うことも可能です。

専門家に依頼した方がよいケース

次のような場合には、専門家への相談を検討すべきです。

  • 相続人が複数おり、関係が複雑な場合
  • 空家を早急に売却・活用したい場合
  • 相続人が忙しくて手続きが難しい場合

相続関係が複雑なまま放置すると、空家が長期間未登記状態となり、管理や処分に支障が生じる恐れがあります。

空家の相続手続きを自分で進める手順

1. 必要書類を準備する

不動産(空家)の相続に必要な書類は以下の通りです。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで全て)
  • 住民票の除票
  • 相続人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 遺産分割協議書や遺言書(ある場合)

相続の種類(法定相続、遺言相続、分割協議)により、必要書類が異なるため事前に確認が必要です。

2. 登記申請書を作成する

法務局の窓口やホームページから登記申請書を入手し、必要事項を記載します。書き方には細かなルールがあり、間違えると修正が必要になるため注意しましょう。

3. 法務局へ申請する

申請方法には以下の3つがあります。

  • 窓口申請:書類を持参して提出
  • 郵送申請:必要書類をまとめて郵送
  • オンライン申請:電子署名・証明書が必要(一般向けには難易度高)

初めての方には、窓口または郵送での申請が現実的です。

4. 登記識別情報(権利証)を受け取る

申請書類に不備がなければ、通常2週間程度で相続登記が完了します。手続きが完了すると、「登記識別情報通知(権利証)」が交付され、窓口または郵送で受け取ります。

相続登記にかかる費用

自力で空家の相続登記を行う際にかかる費用は次の通りです。

書類取得費用(目安)

  • 戸籍謄本:450円/通
  • 除籍謄本・改製原戸籍:750円/通
  • 住民票の除票:300円/通
  • 印鑑証明書:200〜300円/通
  • 固定資産評価証明書:200〜400円/通

登録免許税

  • 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%
    ※相続人以外への遺贈(遺言による取得)は2.0%

空家の相続手続きでの注意点

戸籍謄本は出生から死亡まで揃える

戸籍は転籍や婚姻などで本籍地が変わるたびに別々に作成されます。相続登記にはすべての戸籍をそろえて、相続関係を証明する必要があります。

自筆証書遺言がある場合は検認が必要

遺言書が自筆で書かれたものであれば、家庭裁判所で「検認」を受けなければなりません。検認を受けていない遺言書では法務局で手続きを受理してもらえません。

※公正証書遺言や法務局の遺言保管制度を利用している場合は検認不要です。

相続登記の義務化と過料に注意

2024年4月以降、相続登記は義務となりました。相続の開始から3年以内に登記しなければ、最終的に10万円以下の過料が科されることもあります。

空家を放置していると、登記が進まず罰則の対象となるおそれがあります。

相続登記以外の関連手続きも忘れずに

空家の相続では、以下のような関連手続きも発生します。

  • 死亡届や健康保険の返却
  • 年金関連の手続き
  • 世帯主の変更届
  • 被相続人の準確定申告
  • 相続税の申告・納税

登記以外の手続きにも期限がありますので、事前に確認し、計画的に対応することが重要です。

まとめ

空家となった不動産の相続手続きを自分で行うことは、コスト削減につながる一方で、正確な書類準備と根気が求められます。相続登記の義務化により、放置すれば罰則のリスクもあるため、早めの対応が肝心です。

家族構成が単純で時間に余裕がある場合には自力での手続きも十分可能ですが、状況によっては司法書士などの専門家に相談することも視野に入れましょう。空家の管理や処分をスムーズに行うためにも、相続登記は確実に行うべき重要なステップです。