空地や整備されていない雑種地を相続した場合、その評価方法によって相続税額が大きく変動します。雑種地の相続税評価は、土地の所在地や都市計画上の区分、実際の利用状況などに応じて複雑に決定されます。
本記事では、空地・雑種地の相続税評価方法や、評価額を抑えるための実践的な対策について解説します。
雑種地と空地の違いと相続評価の前提知識
雑種地と空地の定義
雑種地とは、不動産登記法上の22地目のいずれにも当てはまらない土地を指し、私道や資材置場、駐車場、未利用の空地などが該当します。空地であっても、宅地や農地などの法的地目に該当しなければ、相続税評価上は雑種地として扱われることになります。
登記上の地目と実際の利用状況
相続税評価では、登記簿に記載された地目よりも、相続開始時点の実際の利用状況が重視されます。たとえば、登記上は「畑」であっても、耕作されていない荒地であれば、雑種地と見なされる可能性があります。
現地調査や地図サービスの活用により、利用状況を正確に把握しておくことが大切です。
空地・雑種地の相続税評価に必要な確認事項
雑種地の相続税評価方法は、土地が位置する地域や法的区分により異なります。適切に評価を行うには、次の2点を事前に確認する必要があります。
路線価地域か倍率地域かを確認
- 路線価地域:国税庁が路線価を定めている地域。
- 倍率地域:固定資産税評価額に倍率をかけて評価する地域。
評価方法は以下のとおり異なります。
- 路線価地域:近傍地比準価額方式を使用
- 倍率地域:固定資産税評価額に倍率を乗じて算出
都市計画法上の区域の確認
土地がどの区域にあるかで、評価方法や適用控除の条件が変わります。
- 市街化区域
- 市街化調整区域
- 非線引き区域
この情報は、市区町村の都市計画課や都市計画図で確認できます。
雑種地・空地の相続税評価方法|区域ごとの違い
市街化区域 × 路線価地域
このケースでは、雑種地を宅地と見なして評価する宅地比準方式が使われます。
計算例:
(路線価 × 補正率 − 宅地造成費)× 地積
造成費は、土地に整地が必要な場合に限り控除されます。すでに造成済みの空地であれば、この控除は適用されません。
市街化区域 × 倍率地域
倍率地域では、固定資産税評価額 × 倍率で評価され、宅地比準の補正を行う場合もあります。
計算例:
(近傍宅地の固定資産税評価額 × 倍率 × 補正率 − 宅地造成費)× 地積
近傍宅地の情報は、市役所や不動産評価ツールから入手可能です。
市街化調整区域 × 倍率地域
この区域では建築制限があるため、「しんしゃく割合」が評価額から控除されます。
計算式:
{固定資産税評価額 × 倍率 × 補正率 ×(1 − しんしゃく割合) − 宅地造成費}× 地積
周囲の利用状況に応じて、農地や山林に比準して評価されることもあります。
非線引き区域
路線価が設定されている場合は路線価方式、設定がない場合は周辺土地の用途に合わせて宅地比準・農地比準・山林比準などで評価されます。
評価方法が非常に難解になるケースが多く、専門家への相談が推奨されます。
空地や雑種地の相続税評価を下げる具体的な対策
雑種地を賃貸活用する|最大20%の控除
雑種地を第三者に貸し出している場合、相続税評価額から最大で20%が控除されます。たとえば、駐車場として使用させているケースなどが該当します。
ただし、宅地の場合に比べて控除率は低く、契約内容や使用実態が正当に評価される必要があります。
小規模宅地等の特例の活用|最大50%の評価減
一定の条件を満たせば、空地や雑種地においても小規模宅地等の特例を適用でき、評価額が50%に減額されます。
主な適用要件
- 土地にアスファルト舗装や駐車設備等の構築物がある
- 継続的に対価を得て貸付事業として利用している
- 相続後も事業が引き継がれる
単なる更地や青空駐車場ではこの特例は適用されません。事業性や継続性が明確であることが必要です。
相続した空地・雑種地の活用や処分の検討
相続した雑種地や空地が使いにくい場合、以下の選択肢があります。
- 土地活用による収益化
- 不要であれば相続放棄や売却の検討
- 第三者への貸付や寄附の実施
特に建築が制限されている市街化調整区域にある場合は、有効活用が難しいケースが多いため、早めの判断が必要です。
まとめ
雑種地や空地の相続では、評価方法を正しく理解し、事前の活用策や控除制度の活用によって、相続税の負担を大きく軽減できる可能性があります。
- 路線価や倍率、都市計画区域の把握が必要
- 雑種地の利用状況を正しく把握することが重要
- 小規模宅地等の特例や賃貸による評価減も活用可能
評価が難解なケースが多いため、相続税に精通した専門家のサポートを受けることで、正確な評価と節税対策が可能となります。空地や雑種地の相続を控えている方は、早めの情報収集と準備が肝要です。


