空家の解体費用がない時の相続トラブルと対処法

空家の解体費用が準備できず、悩んでいる方は少なくありません。特に相続によって空家を所有することになったケースでは、費用負担や管理の手間、放置によるリスクなど複数の問題が発生します。

本記事では、空家の解体費用がない場合に考えられる6つの具体的な対処法と、費用を抑えるコツ、放置によるリスク、そして相続放棄を選ぶ際の注意点まで詳しく解説します。

実家など相続した空家の解体費用は誰が支払うべきか

空家の解体費用は、基本的にその空家を相続した人(=相続人)が負担します。これは、空家が相続財産に含まれるためです。

複数人で相続した場合の負担方法

相続人が複数いる場合は、解体費用の負担割合を話し合って決める必要があります。合意に至らない場合は、空家の管理や売却も進まないため、専門家の介入が必要になることもあります。

相続放棄を選んだ場合の責任の行方

相続放棄をしたとしても、次の順位の相続人に権利と義務が移るため、問題が完全に解決するとは限りません。全員が放棄した場合には「相続財産法人」が財産の整理を行うことになりますが、その手続きには時間と費用がかかります。

空家の解体費用相場と構造別の目安

空家の解体費用は、建物の構造や大きさ、立地条件などによって大きく異なります。

建物の構造坪単価の目安
木造約3万〜5万円
鉄骨造約5万〜7万円
RC造約6万〜8万円

たとえば、30坪の木造住宅であれば約90万〜150万円程度が目安です。これに加え、庭木や残置物の撤去費用が加算される場合があります。費用を明確にするためにも、事前に複数の解体業者から見積もりを取ることが重要です。

空家の解体費用がないときの具体的な対処法6選

1. 自治体の補助金制度を利用して空家解体費用を軽減する

一部自治体では、空家の除却に対して補助金を支給しています。国土交通省の「空家再生等推進事業」に基づき、50万円~100万円の補助が受けられるケースもあります。

補助金の対象や条件に注意

すべての自治体で実施しているわけではなく、補助の条件として「危険度が高い空家」や「特定地域に所在する物件」である必要がある場合があります。事前に自治体の公式サイトで確認しましょう。

2. 解体費用を不動産会社が負担してくれるケースもある

不動産会社の中には、物件の売却を前提に解体費用を一部または全額負担するところもあります。売却後の収益で回収できる場合に限られますが、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。

買取と解体をセットで依頼するメリット

こうした不動産会社を利用することで、売却・解体・手続きが一括で進むため、手間と時間を抑えられるというメリットがあります。

3. 空家専用の解体ローンを活用する方法

空家の解体専用にローンを提供している金融機関もあります。比較的低金利(2〜5%前後)で、数十万円から数百万円まで借り入れ可能です。

利用する際の注意点

ローンには審査があります。相続人の収入状況や信用状況によっては利用が難しい場合もあるため、事前の相談が必要です。

4. 古家付き土地として空家を売却する方法

解体せずに「古家付き土地」として売り出すことで、買主に解体費用を負担してもらうことが可能です。

売却がスムーズに進まないリスクも

ただし、空家の状態が悪い場合や、立地が不利な場合には売却が難航することもあります。土地の資産価値や需要を見極めたうえで判断しましょう。

5. 空家バンクへの登録で購入希望者を探す

空家バンクは自治体などが運営しており、空家を有効活用したい人とのマッチングを目的とした仕組みです。

自分で売買手続きが必要になる点に注意

不動産会社を介さないため、売主自身が契約書の作成や登記などを行う必要があります。トラブル防止のためにも、可能であれば専門家のサポートを受けましょう。

6. 相続放棄で空家を手放すという選択肢

相続放棄をすることで、空家の所有権も放棄できます。ただし、放棄後に次順位の相続人へ問題が引き継がれる点や、空家の管理義務が一時的に残る可能性がある点には注意が必要です。

相続放棄の期限と手続き

相続放棄は原則として相続開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申し立てる必要があります。期間を過ぎると放棄できなくなるため、迅速な対応が求められます。

空家の解体費用を安く抑える具体的な方法

空家の解体費用を節約するには、業者選びや作業の一部を自分で行うなど、工夫が必要です。

自分でできる作業を事前に行う

  • 家財道具の処分
  • 家電製品の搬出
  • 庭木や雑草の撤去

これらを自分で対応することで、業者の作業範囲が減り、見積もり金額を下げることができます。

解体業者を複数比較して適正価格を把握する

見積もりは1社だけではなく、複数の業者から取得し比較することが大切です。見積もり内容が不透明だったり、極端に安すぎる場合は、追加費用が発生する可能性もあるため注意が必要です。

空家を放置することで生じる深刻なリスク

空家をそのまま放置することには、大きなリスクが伴います。

固定資産税が最大6倍に増加することも

空家が「特定空家」に指定されると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置がなくなり、税額が6倍になる可能性があります。

【例】

  • 特例あり:1000万円 × 1/6 × 1.4% = 約23,000円
  • 特例なし:1000万円 × 1.4% = 約140,000円

近隣トラブルや損害賠償のリスク

放置された空家は、倒壊や害虫の繁殖、不審者の侵入などで近隣トラブルの原因になりがちです。事故やケガを招いた場合、所有者に損害賠償責任が生じることもあります。

「特定空家」に認定されると過料が発生

行政からの命令に従わなかった場合、最大50万円以下の過料が科されることもあります。また、行政が強制的に解体を実施し、その費用を請求されるケースもあります。

まとめ

相続によって空家を所有することになった場合、解体費用を用意できないからといって放置するのは非常に危険です。補助金の活用や解体費用を抑える方法、不動産会社との連携、相続放棄の検討など、状況に応じた複数の解決策があります。

空家の状態や相続関係に応じて、専門家のアドバイスを受けながら、適切に対処することが重要です。放置によるリスクと費用増加を回避するためにも、早期の対応が求められます。