不動産の相続は、終活の中でも特に注意が必要なテーマです。現金とは異なり、不動産は分割や管理が難しく、相続後に空家となってしまうケースも少なくありません。
本記事では、終活を進めるうえで不動産相続を円滑に行うための3つの重要なポイントを解説します。家族間のトラブルを避け、空家を未然に防ぐためにできる準備について整理していきます。
不動産の相続は終活で最も慎重にすべきテーマ
終活とは、自分の死後に家族が困らないよう、生前にさまざまな準備をしておく活動です。その中でも「不動産の相続」は、感情的な要素と経済的負担の両面が重なるため、事前の対策が極めて重要です。
現金や預貯金は比較的分けやすい資産ですが、不動産はそうはいきません。相続後の用途が決まっていないと、誰も住まないまま空家になり、維持費や税金が発生し続けるだけでなく、地域の空家問題にもつながる恐れがあります。
注意点①:親族と事前に方針を話し合う
相続後の用途によって対策が変わる
不動産の相続にあたっては、事前に家族や親族と話し合い、相続後の活用方針を共有しておくことが大切です。以下のように、不動産の利用方法はさまざまです。
- 誰かがそのまま住み続ける
- 売却して現金化する
- 賃貸物件として貸し出す
- リフォームして再活用する
- 建物を解体して土地として売却する
これらの選択肢の中から、家族の希望や将来的なライフプランに合わせた方向性を事前に決めておくことで、無用なトラブルを避けることができます。
思い出が詰まっていても放置はリスク
住宅は単なる資産ではなく、家族の思い出が詰まった特別な存在です。しかし、その感情に配慮しすぎて何も決めないままにしておくと、誰も住まず、空家として放置されてしまうケースもあります。空家は防犯・衛生・地域景観の面でも大きな問題となるため、冷静な判断が求められます。
注意点②:不動産の相続人はできるだけ1人に絞る
共有名義がトラブルの原因になる理由
複数人での共有相続は、一見すると公平な方法に思えるかもしれません。しかし、実際には以下のような問題が発生しやすくなります。
- 売却や活用の際に全員の合意が必要になる
- 所有者が増えると意思統一が困難になる
- 相続が重なることで所有者がさらに分散される
例えば、5人で共有していた不動産のうち1人が反対すれば、売却や賃貸などの活用ができなくなる場合もあります。時間の経過とともに、相続人の連絡先が不明になることも珍しくありません。
換価分割や現物分割も検討を
1人に相続させることが難しい場合には、以下のような方法も有効です。
- 換価分割:不動産を売却し、その代金を相続人で分ける方法。譲渡所得税や売却手数料はかかりますが、共有によるトラブルを回避できます。
- 現物分割:土地や建物、現金などを個別に分ける方法。財産内容に応じて検討する価値があります。
終活の一環として、こうした分割方法も含めてしっかり検討し、相続後の混乱を防ぐ準備が求められます。
注意点③:相続後に空家にならないように対策を立てる
空家は放置せず活用方法を考える
せっかく不動産を相続しても、活用の計画がないまま放置されると、空家になってしまう恐れがあります。空家は倒壊リスク、景観の悪化、防犯上の問題などさまざまな社会的課題を引き起こします。
そのため、相続を受ける側がきちんと活用できるように、事前に対応策を考えておくことが必要です。
空家を防ぐための対策例
- リフォーム・リノベーションして賃貸に出す
古い家はそのままだと借り手が見つかりにくいため、必要に応じて改修し、賃貸物件として活用するのが効果的です。ただし、費用と収益のバランスを事前に検討しましょう。 - 建物を解体し、土地として売却または利用する
建物の老朽化が進んでいる場合は、思い切って解体することで土地として活用しやすくなります。売却の選択肢も広がりますが、解体費用の準備が必要です。 - 相続前に売却して現金化する
終活の段階で不動産を売却し、相続人には現金で遺産を渡す方法もあります。この方法なら、相続後の空家リスクを根本から解消できます。
終活で未来の相続と空家問題に備える
不動産の相続は、終活において避けて通れない重要な課題です。将来、家族がトラブルに巻き込まれたり、空家を抱えて困ることがないよう、今のうちから準備を進めておきましょう。
特に以下の3点を意識することが大切です。
- 相続人と不動産の今後について話し合っておく
- できる限り相続人を1人に限定する
- 空家にならないよう活用・売却の方針を決めておく
終活を通じて不動産の行方を明確にすることは、家族の安心につながるだけでなく、地域全体の空家問題解消にも貢献できます。家や土地を「負の遺産」にしないためにも、しっかりと計画を立てていきましょう。


