空家問題と終活の重要性とは?住まいを放置しないための基礎知識

日本全国で急増する空家問題は、社会全体だけでなく個人の終活にも深く関係しています。空家の増加には人口減少や中古住宅の不人気などさまざまな要因があり、放置された空家は経済的・精神的な負担になるだけでなく、地域社会にも悪影響を及ぼします。

本記事では、空家の現状と分類、なぜ増えているのか、放置による問題点、そして終活の観点から自宅について考えるべきポイントをわかりやすく解説します。

空家と終活の関係|自宅の将来を考える重要性

「終活」とは、人生の終末期に向けて自分の暮らしや資産を整理し、家族に迷惑をかけないよう準備することを指します。終活には医療や相続、葬儀といった分野だけでなく、「住まいの終活」も含まれます。

住まいの終活では、老後どこで暮らすか、自宅を誰が管理・相続するか、処分方法をどうするかなどを事前に考えておくことが重要です。これらを放置すると、結果的に空家となり、家族や地域に迷惑をかけてしまう可能性があります。

空家の現状と4つの分類

日本では現在、約900万戸の空家が存在し、住宅全体に占める空家率は13.8%に達しています。これは住宅の7戸に1戸が空家という深刻な状況です。空家は以下のように4つに分類されます。

空家の4つの種類

  • 賃貸用の空家:アパートや貸家など、賃貸目的で空いている住宅(約444万戸)
  • 売却用の空家:売りに出されている住宅(約33万戸)
  • 二次的住宅の空家:別荘やセカンドハウスなど、定期的に利用される住宅(約38万戸)
  • その他の空家:上記以外で、誰も使っておらず放置されている住宅(約386万戸)

このうち最も問題視されているのが「その他の空家」です。これは相続後に管理されず放置された住宅が多く含まれており、20年間で1.8倍、1978年比では約4倍に増加しています。

空家が増加している背景とは?

空家がここまで増加した背景には、社会構造や住宅市場の問題が複雑に絡み合っています。

新築偏重と住宅解体の少なさ

新築住宅の着工数が依然として高い一方で、古くなった住宅の解体は少なく、住宅の総数が増加しています。2024年には約82万戸が新築され、取り壊しは約10.4万戸と、その差が空家の増加を生み出しています。

少子高齢化と人口減少

日本では2004年をピークに人口が減少し続けており、今後は世帯数自体も減っていくと予測されています。これにより、住む人のいない家が今後ますます増える見込みです。

高齢者世帯の増加

現在、単身高齢者世帯と高齢夫婦世帯を合わせると全体の約3分の1を占めています。高齢者が亡くなると、居住者のいない住宅が空家として残るケースが急増します。

中古住宅市場の未成熟

日本では中古住宅への需要が少なく、流通量もわずかです。中古住宅に対して「古い・汚い・不安」といった負のイメージが根強く、結果的に売却も困難なまま放置される空家が増えています。

その他の要因

  • 相続人同士の意見の対立
  • 何となく手放せないという感情的な理由
  • 所有者不明による処分困難

これらの理由が重なり、空家の問題はますます複雑になっています。

空家を放置することによる具体的な問題

空家をそのままにしておくと、さまざまな問題が生じます。以下に主な影響をまとめます。

近隣に迷惑をかけるリスク

  • 景観の悪化
  • 害虫の発生や不法投棄
  • 建物の老朽化による倒壊リスク
  • 犯罪の温床となる可能性

特に1980年以前に建てられた空家は、旧耐震基準で建てられているため、地震による倒壊リスクが高く、周囲の住宅にも被害を及ぼす恐れがあります。

維持管理にかかる経済的・精神的コスト

  • 固定資産税などの税金
  • 清掃や庭木の手入れ、修繕費用
  • 空家のある地域までの移動費用
  • 近隣住民からの苦情への対応
  • 不法侵入や火災への不安

これらのコストは、所有している限り継続的に発生します。手入れが行き届かない空家は、やがて「不動産」から「負動産」へと変わってしまいます。

終活における住まいの見直し|空家を出さないための準備

空家を防ぐためには、終活の一環として自宅の将来について早めに方針を決めておくことが不可欠です。以下のような対策が求められます。

終活で自宅に関して考えるべきポイント

  • 自宅を終の棲家とするか、住み替えるかの検討
  • 相続する家族との話し合いを早期に行う
  • 売却や賃貸、解体などの選択肢を明確にしておく
  • 地域の空家対策制度や補助金制度を活用する

空家の発生を未然に防ぐには、家族間の共有や事前準備が不可欠です。具体的な処分方法を決めておけば、遺された家族も安心して対応することができます。

まとめ

空家問題は、個人の資産管理の問題であると同時に、地域社会にとってのリスクでもあります。空家の放置は経済的・社会的負担を生むだけでなく、資産価値の低下や家族の負担にも直結します。

終活の一環として、住まいについて考えることは、空家を生まないための最も効果的な対策です。 元気なうちに自宅の将来を見据え、計画的に準備を進めることで、空家を「残された問題」から「解決済みの課題」へと変えていくことができます。

住まいの終活を始めることが、家族の安心と資産の最適化への第一歩となります。