住む予定のない実家を相続すると、固定資産税や管理コストが継続的に発生し、適切に管理しないと税負担の増加や近隣トラブルの原因になります。また、特定の財産だけを放棄することはできず、空家だけを手放すには別の制度や方法を活用する必要があります。
本記事では、空家の相続におけるリスクと、手放す・活用するための具体的な方法を解説します。
空家となる実家を相続すべきでない理由
固定資産税や管理費用が継続的にかかる
実家を相続すると、誰も住まなくても固定資産税や建物の維持費が発生します。不動産の評価額によっては年間10万円以上の支出となるケースもあり、使わない物件を維持するだけで大きな負担になります。
管理不全で「特定空家」に指定されるリスク
空家の状態が悪化すると、自治体により「管理不全空家」や「特定空家」に指定されることがあります。これにより、通常の軽減措置が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍になることもあります。
地方の空家は活用・売却が難しい
地方にある実家は需要が低いため、売却や賃貸が難航する場合があります。買い手や借り手が見つからない場合は、管理や税金の負担だけが残り続けます。
放置による近隣トラブルや法的リスク
空家を放置すると、雑草や害虫、建物の倒壊、犯罪への悪用といったトラブルが発生しやすくなります。これにより近隣住民との関係悪化や損害賠償リスクが生じることもあります。
相続税の納税負担
誰も住まない家でも相続税が課され、納税は原則として現金一括で行う必要があります。不動産だけが遺産の場合、現金化のために急な売却を迫られることもあります。
実家だけを相続放棄することはできない
相続では、財産ごとの選択的な放棄は認められておらず、全ての財産をまとめて放棄するかどうかの判断になります。
そのため、「家だけ放棄して預貯金は相続したい」ということはできません。
空家の相続を避けたい場合は、相続放棄のほかに売却、寄付、相続土地国庫帰属制度の活用といった方法を検討する必要があります。
空家となった実家を相続した場合の対処法
活用または売却する
住宅としての利用が見込める場合は、賃貸やリフォーム、建替えなどで活用するのも一つの方法です。活用が難しい場合は、不動産会社に相談のうえ売却を検討します。売却代金は納税資金としても活用できます。
なお、売却や活用を行うには相続登記を完了しておく必要があります。
相続放棄をする
実家の維持が困難で他に価値ある遺産もない場合、家庭裁判所での手続きにより相続放棄を選択することもできます。ただし、相続人となってから3ヶ月以内に手続きしなければなりません。また、一度放棄が認められると取り消しはできません。
相続土地国庫帰属制度を利用する
不要な土地だけを手放す制度で、2023年より施行されました。建物がある場合は解体して更地にし、さらに条件を満たす必要があります。費用や手間がかかるため、制度利用の可否は事前に確認しておきましょう。
寄付や贈与を行う
土地や建物を隣人、法人、自治体などに寄付・贈与する方法もあります。ただし、贈与税や譲渡所得税などの課税が発生する可能性があるため、事前の税務確認が必要です。
空家となった実家の活用方法
賃貸住宅として貸し出す
住宅の状態や立地が良好であれば、戸建てとして貸し出すことが可能です。需要があるかどうかは不動産会社に確認しましょう。築年数が古い場合は建替えも視野に入れられます。
店舗や事務所として貸し出す
住宅需要が少ないエリアでは、飲食店やオフィス、ギャラリーなど非住宅用途への転用も検討できます。立地条件に応じて活用方法を選びましょう。
民泊・レンタルスペースで活用する
観光需要がある地域では、空家を民泊施設やレンタルスペースとして活用できます。管理を外部業者に委託することで、遠方に住んでいる相続人でも対応可能です。
サテライトオフィスとして提供する
企業の地方進出やテレワーク需要に対応して、サテライトオフィスとして住宅を活用する方法もあります。特に、古民家など独特の雰囲気がある物件は需要が高まっています。
駐車場経営を行う
建物を解体して駐車場に転用することで、初期投資を抑えた土地活用が可能です。ただし、更地にすると固定資産税が増えるため、費用対効果を検討する必要があります。
トランクルームとして活用する
住宅や店舗としての需要が少ない場合、敷地内にコンテナを設置してトランクルームとして貸し出すことも可能です。比較的初期費用を抑えられるものの、利回りは控えめです。
まとめ
住まない実家を相続すると、空家の管理や税負担といったコストが継続的に発生し、放置するとさらにリスクが高まります。
相続前には実家の活用可能性や維持コスト、相続税の負担などを慎重にシミュレーションしましょう。相続後に後悔しないためにも、売却や制度の利用を含めた選択肢を事前に把握しておくことが重要です。
空家の扱いに困った場合は、専門家に相談し、最適な対応策を検討しましょう。


