空地を所有している方にとって、終活における最大の課題のひとつが「土地の境界確定」です。相続後に土地を売却したり、兄弟で分けたりするには、あらかじめ正確な測量と境界確認が必要です。測量が終活に含まれていないと、空地が「売れない」「使えない」状態になり、相続人に大きな負担を与えることになります。
本記事では、土地家屋調査士の視点から、終活において空地の測量を行う重要性を詳しく解説します。
空地の境界確定測量が終活で重要な理由
終活では見落とされがちな土地測量
終活というと、多くの人は遺言書の作成や預貯金の整理、葬儀の準備といったことに目を向けがちです。しかし、価値ある空地(不動産)を所有している場合、土地の境界を正しく確定しておくことが終活の一環として非常に重要です。
特に、相続後にその土地を売却したり、相続人同士で分けたりする予定があるならば、土地境界確定測量が事前に行われていないと、これらの手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。
境界確定が必要な具体的なケース
空地の売却には境界の確定が必須
現代の不動産取引では、土地の境界が明確に確定されていなければ、買主が安心して購入することができません。測量が済んでいない空地は、買主から敬遠されるケースが多く、「売れない土地」になることも珍しくありません。
境界確定測量は、測量士が現地で測定を行い、地図や登記情報と照らし合わせた上で、隣接地の所有者に確認を取りながら行います。隣接地所有者の合意が得られなければ、境界の確定はできず、売却も事実上不可能になることがあります。
土地を分けるには分筆登記が必要
複数の相続人で土地を分けたい場合には、「土地分筆登記」を行う必要がありますが、この手続きも境界確定が前提となっています。空地が複数人に相続される際、あらかじめ測量されていないと、登記手続きが進められず、トラブルの原因になることがあります。
空地の測量を終活で行うメリット
相続人の負担を軽減できる
境界未確定のまま空地を相続させると、相続人が測量から交渉、場合によっては裁判までを担うことになり、精神的にも金銭的にも大きな負担になります。測量を終活の一部として生前に済ませておけば、相続人の作業が大幅に軽減されます。
また、相続税納付のために空地を急いで売却する必要がある場合でも、測量済みであればスムーズに手続きが可能となります。
空地の活用・売却がしやすくなる
境界が明確になっていない空地は、用途が限定され、活用が難しくなります。例えば、駐車場や貸地などに活用しようとしても、隣接地との境界に不明点があると、事業者が二の足を踏むことがあります。終活の一環として測量を行うことで、空地の資産価値を高め、将来の活用計画にも柔軟に対応できるようになります。
境界未確定の空地が抱えるリスク
隣接地とのトラブルに発展
空地の境界が曖昧なまま相続されると、隣地との境界線を巡ってトラブルに発展するケースがあります。特に、境界の立ち会いや合意が得られない場合は、筆界特定制度や境界確定訴訟といった法的手続きが必要となり、費用や時間がかかるだけでなく、隣人との関係にも悪影響を及ぼします。
空地の管理責任が問われる
測量がされておらず境界が不明な空地は、草木の越境や不法投棄などの問題が起こりやすく、所有者としての管理責任が問われることもあります。放置された空地は、地域住民との間で摩擦を生みやすくなり、トラブルの火種となる可能性があります。
測量で思い出と歴史も残せる
空地を記録に残すという終活
測量は単に境界を明確にするための手続きにとどまらず、空地の現在の姿を図面や写真で記録として残すという意味でも、終活の一部となり得ます。長年暮らしてきた土地や建物の記録は、次の世代への思い出や歴史として引き継ぐことができます。
たとえ相続後に手放すことになったとしても、その土地の記録が残っていれば、家族にとっての心の拠り所になるでしょう。
空地の測量を終活に組み込むべき人とは?
以下のような方は、特に空地の測量を終活に組み込むことを検討すべきです。
- 財産の中心が空地や宅地である方
- 子どもや兄弟で土地を分ける予定のある方
- 将来的に空地を売却、活用したいと考えている方
- 隣地との境界に不安がある方
測量は一朝一夕に終わる作業ではありません。隣接地所有者との協議や役所への申請などを含めると、数ヶ月を要することもあります。そのため、健康で判断力があるうちに進めることが大切です。
まとめ
終活は、人生の最終章を自らの手で整える大切なプロセスです。その中で、空地の測量と境界確定は、相続人にとっての安心材料であり、将来のトラブル防止につながります。
空地は適切に管理され、境界が確定してこそ「価値ある資産」として次世代に引き継ぐことができます。逆に、測量がされていない空地は「売れない」「使えない」「争いの火種になる」というリスクをはらんでいます。
今できる準備として、終活の一環に「空地の測量」をぜひ組み込んでください。それは自分自身だけでなく、家族にとっても大きな安心につながるはずです。


