相続によって取得した不動産が空家となった場合、火災や自然災害に対するリスクが高まり、火災保険の必要性が増します。しかし、空家は居住中の住宅と比べて火災保険の加入が難しく、条件も厳しくなりがちです。
本記事では、空家を相続した際の火災保険について、注意点や適切な対処法、空家でも加入できる保険の選び方を詳しく解説します。
相続した空家はなぜ火災保険が必要なのか?
管理されない空家のリスク
相続した不動産に居住せず、空家となった場合、老朽化や自然災害による損傷が急速に進行する可能性があります。人の出入りが少ない空家では、火の不始末や不審火、電気系統の異常に気づくのが遅れるため、火災リスクも高まります。
加えて、日本は地震・台風・大雨などの自然災害が頻発する国です。空家であっても、こうした災害から建物を守るためには、火災保険による備えが不可欠です。
空家は火災保険に入りにくい理由
一般住宅と比べて高いリスク評価
空家は、人が住んでいないことにより管理が不十分となり、火災・風災・水害などの被害を受けやすくなります。こうした理由から、保険会社は空家の火災保険加入に対して慎重な姿勢をとります。実際、多くの保険会社では空家への火災保険の新規加入を制限しており、条件付きでの引受や、そもそも契約対象外とされるケースもあります。
地震保険との関係
地震保険は、火災保険に加入していることが前提となる保険商品です。そのため、火災保険に加入できなければ、地震保険にも加入できません。災害大国である日本において、これは大きなリスクとなります。
相続した空家に既存の火災保険がある場合
被相続人名義の保険契約はそのまま使える?
被相続人が生前に火災保険に加入していた場合でも、相続により契約者が死亡すれば、名義変更の手続きが必要です。相続人が実際に居住する場合は、多くの保険会社で契約継続が認められますが、空家となった場合は話が異なります。
空家状態になることで、保険の継続が認められない場合があります。保険会社には速やかに契約者の死亡を報告し、使用状況を正直に伝えることが大切です。
契約者死亡を隠すリスク
被相続人の死亡を保険会社に知らせず、そのまま火災保険を継続しようとするのは非常に危険です。事故が発生した際、保険金が支払われないばかりか、保険金の不正請求と判断されれば、詐欺罪に問われる恐れもあります。相続が発生した場合には、正確な情報を保険会社に届け出て対応を仰ぎましょう。
空家であることを隠して火災保険に加入するのはNG
虚偽申告による契約の無効化
空家であると保険に入りづらいため、「居住中」と偽って火災保険に加入しようとする例がありますが、これは非常にリスクの高い行為です。契約時に虚偽の申告をすると、保険契約そのものが無効と判断される可能性があり、保険事故が発生しても保険金が支払われません。
また、重要事項を隠して契約した場合、民事上の問題にとどまらず、刑事責任を問われる可能性もあるため、正直な申告が必須です。
空家でも加入できる火災保険を探すには?
空家専用の火災保険商品を利用する
最近では、一部の保険会社が空家を対象とした専用の火災保険商品を提供しています。通常の住宅向け保険とは異なる契約条件が設定されていますが、空家でも保険加入が可能です。
特に、ネット専業の保険会社や中小の保険会社が、柔軟な条件で引き受けを行っているケースが多いため、複数社に問い合わせて比較検討することをおすすめします。
将来的に賃貸活用を予定している空家
将来、相続した空家を賃貸物件として活用する予定がある場合、現在は空家であっても、賃貸前提で火災保険に加入できることがあります。保険会社によって判断基準が異なるため、具体的な運用予定を伝えて個別に確認するようにしましょう。
売却予定の空家にも火災保険は必要
相続した空家を売却する予定であっても、火災保険は加入しておくべきです。売却が完了するまでには、登記の変更、契約手続き、買主探しなどに時間がかかります。その間に火災や台風、土砂崩れなどの自然災害が発生すれば、大きな損害を被る可能性があります。
たとえ数ヶ月間の空家でも、その期間に損害を受ければ修復費用は相続人の負担になります。売却が完了するまでは、必ず火災保険に加入し、リスクに備えるようにしましょう。
空家の火災保険未加入は大きなリスク
空家であっても、相続した不動産は相続人の資産です。管理されていない空家が原因で火災が発生すれば、周囲に被害を及ぼし、損害賠償責任を負う可能性もあります。また、近年では気候変動による線状降水帯の発生や大型台風の被害が深刻化しており、空家に対する自然災害のリスクも無視できません。
火災保険は、万が一の際の経済的損失を軽減するための重要な手段です。空家専用の保険商品を活用し、未加入期間が生じないよう早めの対応を行いましょう。
まとめ
相続した空家に火災保険を適用するためには、通常の住宅とは異なる注意点が多数存在します。空家は火災や自然災害のリスクが高く、保険会社の審査も厳しい傾向がありますが、空家専用の火災保険を活用することで、多くの場合は保険による備えが可能です。
被相続人名義の契約をそのまま放置したり、虚偽の申告をするのはトラブルの原因になります。正しい手続きと情報提供のもと、空家でもしっかりと火災保険に加入し、相続不動産を適切に管理・保護することが大切です。
火災保険の空白期間を作らず、リスクに備えることが、相続不動産の有効活用や売却においても重要なステップとなります。


