相続した空家の登記をどこの法務局で行えばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。空家の放置は防災や衛生面でも社会問題となっており、早めに相続登記を完了させることが重要です。
本記事では、相続した空家の登記を行うべき法務局、手続きの流れ、必要書類、注意点を詳しく解説します。自身で登記手続きを進めるための実践的なガイドとしてご活用ください。
相続した空家の登記はどの法務局で行うのか
不動産の所在地を管轄する法務局が原則
空家を相続した場合、その不動産が存在する地域を管轄する法務局で相続登記を行う必要があります。被相続人や相続人の居住地にかかわらず、不動産の所在地が基準となるため注意が必要です。たとえば、複数の空家を相続した場合は、それぞれの不動産所在地に対応する法務局ごとに申請が必要です。
郵送による申請も可能
管轄外の法務局に直接出向くのが困難な場合は、郵送による申請が可能です。これにより、遠方の空家に関する相続登記でも効率よく手続きを進めることができます。
空家の相続登記前に行うべき準備
相続不動産(空家)の特定
まずは相続対象となる空家の特定を行います。以下の書類を確認して、被相続人が所有していた不動産の情報を把握しましょう。
- 固定資産納税通知書
- 登記済証や登記事項証明書
- 名寄帳(市区町村が管理する不動産の一覧)
名寄帳は、課税対象外の不動産も含めて把握できるため、見落としを防ぐのに有効です。
相続人の確定
登記手続きには、法定相続人全員の情報が必要です。被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得し、相続人を正確に確定させましょう。特に前婚の子どもなど、現戸籍に記載されていない相続人がいる可能性があるため注意が必要です。
空家の相続登記を自分で行う手続きの流れ
STEP1:必要書類の取得
相続登記には以下のような書類が必要になります。
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票
- 相続人の住民票
- 固定資産評価証明書(空家の所在地の市区町村で取得)
- 登記申請書(自作)
- 相続関係説明図(自作)
- 遺産分割協議書(必要な場合のみ自作)
- 印鑑証明書(遺産分割協議がある場合)
- 収入印紙
- 返信用封筒
必要書類の一部は令和6年3月以降、全国の役所で取得できるようになり、利便性が向上しています。
STEP2:書類の作成
自作が必要な書類として、以下の2点が挙げられます。
- 登記申請書:法務局に提出する主たる書類で、相続人や不動産情報などを記載します。
- 遺産分割協議書:相続人全員が合意した空家の分割方法を明記した書類です(法定相続や遺言がある場合は省略可)。
どちらもフォーマットに決まりはなく、パソコンや手書きで作成可能です。
STEP3:法務局への提出
書類の提出は窓口または郵送のいずれかを選択できます。提出する際は、以下の点を押さえておきましょう。
- 提出書類はホチキスで順序よくとじる
- 原本還付を希望する書類はコピーを添えて提出
- 返信用封筒には切手を貼付して同封
相続方法別・空家の登記に必要な書類一覧
遺産分割協議による場合
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 被相続人の戸籍(出生〜死亡) | 市区町村の役所 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 同上 |
| 被相続人の住民票の除票 | 同上 |
| 相続人の住民票 | 同上 |
| 固定資産評価証明書 | 不動産所在地の役所 |
| 登記申請書 | 自作 |
| 遺産分割協議書 | 自作 |
| 相続関係説明図 | 自作 |
| 相続人の印鑑証明書 | 同上 |
| 収入印紙 | 法務局・郵便局 |
遺言書がある場合
上記に加え、遺言書および遺言執行者に関連する書類が必要です。
法定相続の場合
遺産分割協議書や印鑑証明書は不要ですが、他の書類は同様に必要です。
相続登記と空家管理の注意点
平日しか手続きができない
法務局や役所の窓口は平日のみ対応のため、申請準備には時間の余裕が必要です。書類不備による差し戻しにも備え、4〜5日ほどの平日が確保できると安心です。
相続登記の義務化と罰則
2024年4月から、相続登記は義務化されました。正当な理由がなく3年以内に手続きを行わなかった場合、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。空家を相続した場合は、早めの登記を心がけましょう。
原本還付請求を忘れずに
戸籍や住民票などの書類は、他の相続手続きにも使用します。原本還付請求をして、書類が返却されるようにしましょう。
受付番号の管理
法務局では申請受付後に受付番号が発行されます。問い合わせや手続き修正の際に必要となるため、必ず控えておきましょう。
専門家への依頼も選択肢
空家の相続登記は書類が多く、内容も複雑になりがちです。不安がある場合や時間が取れない場合は、司法書士などの専門家に相談・依頼するのも有効な手段です。
まとめ
相続した空家の登記は、その所在地を管轄する法務局で行う必要があります。遠方の法務局でも郵送による申請が可能で、事前準備として不動産と相続人の確認が重要です。
相続登記は義務化されており、罰則の対象になるため、空家を相続したら速やかに登記手続きを進めることが求められます。時間や手続きに不安がある場合は、専門家の力を借りることも検討しましょう。
空家を放置せず、適切に管理するためにも、相続登記の完了が第一歩となります。


