揉める前に読む!3分でわかる契約書リーガルチェックの重要ポイント

法務部を持たない中小企業や個人事業主、フリーランスの方にとって、取引先から提示される「契約書」は頭を悩ませる種になりがちです。「一応読んだけれど、難しい法律用語ばかりでよく分からない」「大手企業が作ってきたものだから、きっと問題ないだろう」と、そのままハンコを押してしまってはいませんか?

実は、その「読んだけど問題なさそうだった」という社長や担当者個人の判断には、会社を揺るがすほどの大きなリスクが隠されています。今回は、契約書のリーガルチェックがなぜ必要なのか、そして最低限確認すべきポイントについて解説します。

1. 用意された雛形を信じることの恐ろしさ 契約書というものは、取引が順調に進んでいる間はその存在を忘れてしまうものです。問題になるのは、「トラブルが起きたとき」です。そのとき初めて契約書を引っ張り出してきても、自社を守る条項が書かれていなければ、交渉も法的対応もできません。

実際にあったケースとして、ある小規模なシステム開発会社が、大手企業から仕事を受注した際の話があります。その会社は、大手企業が用意した業務委託契約書に、ろくなチェックもせずにサインをしてしまいました。その後、システムの不備によって顧客のクレジットカード情報が流出するという大事故が発生します。 実はこのとき、契約書に「損害賠償額の上限(例えば、受け取った報酬額を上限とするなど)」を定める条項が入っていませんでした。そのため、発生した多額の損害賠償をすべて被ることになり、結果的にそのシステム開発会社は倒産に追い込まれてしまったのです。

大手企業が用意する契約書は、決して「お互いにとって平等」に作られているわけではありません。法律に違反しない範囲で、「自社(大手企業側)に有利な内容」に緻密に作り込まれています。相手の用意した雛形をそのまま信用してサインすることは、極めて危険な行為なのです。

2. リーガルチェックで最低限確認すべき4つのポイント では、契約書を確認する際、具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか。最低限押さえておくべきポイントを4つ紹介します。

  • ① 自社が「どちらの立場か」を意識する 契約書をチェックする際、まずは自社がどういう立場にあるのかを明確にすることが重要です。たとえば秘密保持契約(NDA)の場合、自社が「情報を開示する側」であれば秘密の範囲を広く設定した方が有利になりますが、「情報を受け取る側」であれば、義務を負う範囲はできるだけ狭く限定した方が安全です。立場によって、有利・不利の基準は180度変わります。
  • ② 損害賠償と違約金のリスク 一見お互い様に思えても、自社のみが重い義務を負う内容になっていないか注意が必要です。万が一の際の「損害賠償の上限」が設定されているか、また、不当に高額な違約金が設定されていないかを確認してください。
  • ③ 契約の解除条件と期間 継続的な取引の場合、「いつまで契約が続くのか」「相手の都合だけで急に打ち切られないか」が重要です。相手からはいつでも無理由で解約できるのに、自社からは解約できないといった、一方的に不利な条件になっていないかを必ずチェックしましょう。
  • ④ お金とサービスの提供範囲 金額が税込みか税抜きか、支払期限はいつかといった基本的なお金のルールの確認は必須です。また、コンサルティングや開発などのサービス業の場合、「どこまでが業務の範囲か」「時間外の対応はどうなるのか」を明確に特定しておかないと、際限なく無償で対応させられるトラブルに発展します。

3. 専門家にチェックを依頼する真の価値 最近ではAIを使った契約書チェックツールも登場していますが、それだけでは不十分なケースがあります。AIは一般的なリスクを指摘することはできても、取引の背景や、相手企業との力関係までは判断できないからです。

専門家(弁護士や行政書士など)にリーガルチェックを依頼する最大のメリットは、「この取引は会社にとってどういう位置づけなのか」「相手が強気に出ているのか、対等に交渉できるのか」といったビジネスの実態を聞き取ったうえで、多角的なアドバイスを受けられる点にあります。 「ここは自社に不利ですが、この程度のリスクなら許容して契約を進めましょう」「ここは絶対に譲れないので修正を求めましょう」といった、経営判断の基準となるアドバイスをもらえます。

おわりに 「弁護士などの専門家に相談するほどの案件ではない」と思った契約ほど、数年後に数百万円の損失につながるような重大なリスクを抱えていることがあります。契約書は、トラブルを防ぐための単なる「防具」ではなく、利益を守りビジネスを加速させるための「武器」でもあります。

少しでも不安を感じたり、意味が分からない条項があったりする場合は、ハンコを押す前に一度立ち止まり、専門家の目を通すことを強くおすすめします。

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