高齢の親の入院や施設入所、相続をきっかけに発生する「空家」の問題は、多くの家庭が直面する現実的な課題です。放置された空家は、近隣への悪影響や資産価値の低下など、さまざまなリスクを伴います。
本記事では、終活の一環として考えるべき空家への対応と、状況ごとに適切な相談先や活用法について、わかりやすく解説します。
親の入院・施設入所で空家が発生したときの管理方法
高齢の親が入院や介護施設へ入所すると、それまで住んでいた家が空家になることがあります。家族が近くに住んでいれば定期的に訪問できますが、遠方にいる場合には管理が大きな負担になります。
空家の基本的な管理方法
- 定期的な換気・通水・施錠確認
- 郵便物の回収とポストの清掃
- 庭木の手入れや除草
- 室内外の確認と簡易清掃
これらを自力で行うのが難しい場合は、空家管理サービス業者の利用がおすすめです。業者によっては、建物の内部まで点検し、写真や動画付きのレポートを定期的に提供してくれます。
空家を売却して入院費を捻出したいときの対応策
終活の一環として、親の介護費用や入院費用を自宅の売却で補いたいという考えはよくあります。しかし、所有者が親である限り、子どもが勝手に売却することはできません。
対応策としては以下の制度の活用が有効です。
家族信託
- 親(委託者)と子(受託者)との間で信託契約を結び、子に管理・処分の権限を与える制度。
- 親が元気なうちにしか契約できないため、早めの準備が必要。
成年後見制度
- 親がすでに認知症などで判断能力を失っている場合に活用。
- 裁判所が後見人を選任し、財産管理や生活手続きを代行。
- 不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要で、自由度はやや低い。
それぞれの制度にはメリットと制限があるため、状況に応じて選択することが重要です。
相続後に発生する空家の悩みと対応
相続によって空家を引き継いだ場合、多くの人が次のような問題に直面します。
相続登記は義務
2024年4月から相続登記が義務化され、登記を怠ると過料の対象になります。名義変更をしないと売却も賃貸もできないため、早めに登記手続きを行いましょう。複雑な相続関係がある場合は、司法書士に依頼するのがスムーズです。
遺品整理と活用準備のポイント
空家となった家を活用する前には、不要な家具や家電の整理が必要です。遺品の中には価値あるものが含まれていることもあるため、安易に処分せずに時間をかけて整理することが重要です。
遺品整理の流れ
- 必要なものと不要なものの仕分け
- 家電や大型家具の回収は専門業者に依頼
- 売却可能な品はリサイクル業者に査定依頼
- 整理後にハウスクリーニングを検討
遺品整理は精神的にも体力的にも負担が大きいため、早めに取り組むことが終活の一環として推奨されます。
空家の活用法:売却・賃貸・空家バンク
空家を今後利用する予定がなければ、資産として活用する選択肢があります。主な方法は以下のとおりです。
売却または賃貸に出す
- 売却は不動産会社への相談が基本。
- 賃貸はリフォームが必要なケースもあるため、初期投資を検討。
- 状況に応じて「不動産買取」も選択肢。リフォーム前提での買取なら、古い建物でも対応可能。
空家バンクの活用
空家バンクは、自治体が運営する空家流通支援制度です。売却や賃貸を希望する空家を登録すると、地域のニーズに応じたマッチングが可能になります。
空家バンクの特徴:
- 登録・掲載が無料
- 仲介業者を通さないため、手数料が不要
- 地域に移住希望者がいる場合はマッチング率が高い
登録条件は自治体ごとに異なるため、まずは地元自治体に相談するのがスムーズです。
活用予定のない空家は「国庫帰属制度」で処分も可能
立地や面積の都合で活用が難しい空家や土地は、相続土地国庫帰属制度を使って国に引き渡すことが可能です。
制度の概要
- 対象は建物のない土地(空地)
- 申請には14,000円の審査料が必要
- 承認されると、20万円の負担金で国庫に帰属可能(宅地の場合)
この制度の相談先は法務局です。予約制となっているため、事前に「法務局手続案内予約サービス」から予約を行いましょう。
空家の放置が招くリスクとは?
空家は放置すると急速に老朽化が進みます。以下のような状態になると、自治体から「特定空家」や「管理不全空家」に指定され、固定資産税の優遇措置がなくなります。
指定される主な原因
- 倒壊の危険がある
- 景観や衛生を損なっている
- ゴミの不法投棄、放火のリスクがある
- 害獣・害虫の繁殖源になっている
これらを未然に防ぐためにも、所有者は空家を適切に管理する責任があります。
空家管理を業者に委託するメリット
遠方に住んでいる、頻繁に訪問できないといった事情がある場合には、専門業者への管理委託が有効です。
委託するメリット
- 内部の換気・通水・通風の実施
- 鍵の確認、郵便物の整理
- 写真や動画での報告書提供
- 売却や活用相談も可能
業者を選ぶ際は、実際に自社スタッフが作業を行っているかどうかを確認しましょう。外注だとトラブル時の対応が遅れるリスクがあります。
空家問題は終活の重要テーマ
空家の管理・処分・活用は、終活の一部として家族に負担をかけないための大切な準備です。突然の事態に備え、あらかじめ家族信託や不動産の活用方法、管理委託の方針を整理しておくことが望ましいでしょう。
終活として空家対策に取り組む際のポイント
- 家族で事前に話し合っておく
- 制度やサービスを調べておく
- 不動産や法務の専門家に相談する
人生の終盤に向けて、空家の管理・活用・処分を計画的に進めることが、自分自身にも家族にも安心をもたらします。空家問題を先延ばしにせず、早めの対策を講じましょう。


